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IBDとは 炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん) (Inflammatory Bowel Disease)のことです

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)(Ulcerative Colitis)

クローン病(Crohn's Disease)

これらは、厚生労働省により特定疾患の研究対象にされている難病です。

※以下は、財団法人 難病医学研究財団/難病情報センターから

難病と特定疾患

難病については、昭和47年の難病対策要綱に、 (1)原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少なくない疾病、(2)経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病と定義されています。特定疾患について我が国の難病対策では、いわゆる難病のうち、原因不明で、治療方法が確立していないなど治療が極めて困難で、病状も慢性に経過し後遺症を残して社会復帰が極度に困難もしくは不可能であり、医療費も高額で経済的な問題や介護等家庭的にも精神的にも負担の大きい疾病で、その上症例が少ないことから全国的規模での研究が必要な疾患を「特定疾患」と定義しています。
現在、特定疾患は121疾患あり、うち45疾患の医療費は公費負担助成の対象です。どちらも原因や治療方法が未知で根治の難しい病気です。

潰瘍性大腸炎の概念

潰瘍性大腸炎は主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する原因不明の大腸のびまん性非特異性炎症である。医科学国際組織委員 (CIOMS)では「主として粘膜と粘膜下層を侵す、大腸特に直腸の特発性、非特異炎症性疾患。30歳以下の成人に多いが、小児や50歳以上の年齢層にもみられる。原因は不明で、免疫病理学的機序や心理学的要因の関与が考えられている。通常血性下痢と種々の程度の全身症状を示す。長期にわたり、かつ大腸全体を侵す場合には悪性化の傾向がある。」と定義している。病態分類として、病変の拡がりによる病型分類(全大腸炎・左側大腸炎・直腸炎・右側あるいは区域性大腸炎)、臨床的重症度による分類(重症・中等症・軽症)、病期の分類(活動期・緩解期)と臨床経過による分類(再燃緩解型・慢性持続型・急性激症型・初回発作型)などがあり、多くの患者は再燃と緩解を繰り返すことから長期間の医学管理が必要となる。

病因と症状

いまだ病因は不明であるが、現在では遺伝的因子と環境因子が複雑に絡み合って、なんらかの抗原が消化管の免疫担当細胞を介して腸管局所での過剰な免疫応答を引き起こし、発症と炎症の持続に関与していると考えられている。代表的な自覚症状は、血便、粘血便、下痢、あるいは血性下痢を呈するが、病変範囲と重症度によって左右される。軽症例では血便が少量で下痢を伴わない場合も多いが、より重症化すれば、水様性下痢と出血が混ざったトマトケチャップ様や糞塊がなく滲出液と粘液に血液が混じた状態となる。これ以外の症状としては腹痛、発熱、食欲不振、体重減少、貧血などが加わることも多い。さらに関節炎、尿路結石、虹彩炎・結膜炎、膵炎・高アミラーゼ血症などの腸管外合併症を伴うことも少なくない。

治療〈治療原則〉

重症例や、ある程度の全身障害を伴う中等症例に対しては、入院のうえ、脱水、電解質異常(特に低カリウム血症)、貧血、低蛋白血症、栄養障害などに対する対策が必要である。激症例は極めて予後不良であるので、内科と外科の協力のもとに強力な治療を行ない、短期間の間に手術の要、不要を決定する。

(薬物療法)

潰瘍性大腸炎の薬物療法を始めるにあたり、その症例の重症度を把握することが重要である。薬物療法の基本はコンビネーション療法であり、基準薬である5-アミノサリチル酸製剤と副腎皮質ステロイド剤で多くの症例は緩解導入と緩解維持が可能である。しかし、一部の症例では増悪や度重なる再燃を経験するため、アザチオプリンや6-MP、注腸製剤の工夫、白血球除去療法、シクロスポリンを使用する場合もある。

(外科療法)

内科的治療に反応せず改善がみられない、あるいは症状の増悪がみられる場合には手術適応を検討する。手術適応には、絶対的適応である全身症状の急性増悪、重篤な急性合併症、大腸癌と、相対的適応である難治例のQOL障害例、重篤なステロイド副作用が発現するおそれがある例、大腸外合併症、大腸合併症がある。近年、手術術式の進歩により肛門機能を温存できるようになり、術後のQOLも向上している。

クローン病とは

大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)といいます。クローン病も、この炎症性腸疾患のひとつで、1932年にニューヨークのマウントサイナイ病院の内科医クローン先生らによって限局性回腸炎としてはじめて報告された病気です。クローン病は主として若年者にみられ、口腔にはじまり肛門にいたるまでの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍(粘膜が欠損すること)が起こりえますが、小腸の末端部が好発部位で、非連続性の病変(病変と病変の間に正常部分が存在すること)が特徴です。それらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じる病気です。

病因と症状

これまでにクローン病が発症する原因として、遺伝的な要因が関与するという説、結核菌類似の細菌や麻疹ウイルスによる感染で発症するという説、食事の中の何らかの成分が腸管粘膜に異常な反応をひきおこしているという説、腸管の微小な血管の血流障害による説などがあげられていますが、いずれもはっきりと証明されたものはありません。最近の研究では、なんらかの遺伝子の異常を背景にもち、異物を処理する細胞やある種のリンパ球などの免疫を担当する細胞の異常反応が明らかになってきており、何らかの外来の抗原(食事の成分、異物、病原体など)の侵入とそれに対する免疫系の反応異常が想定されています。クローン病の症状は患者さんによって非常に多彩で、侵された病変部位(小腸型、小腸・大腸型、大腸型)によっても異なります。その中でも特徴的な症状は腹痛と下痢で、半数以上の患者さんでみられます。さらに発熱、下血、腹部腫瘤、体重減少、全身倦怠感、貧血などの症状もしばしば現れます。またクローン病は瘻孔、狭窄、膿瘍などの腸管の合併症や関節炎、虹彩炎、結節性紅斑、肛門部病変などの腸管外の合併症も多く、これらの有無により様々な症状を呈します。

治療

クローン病の治療は、いまだ原因が不明であるために根本的な治療法がないのが現状です。しかし、患者さん自身がクローン病を正しく理解し、治療を受ければ多くの場合は「緩解」状態になり、それを維持することが可能です。その基本はあくまでも腸管に生じた炎症を抑えて症状を和らげ、かつ栄養状態を改善するために、急性期や増悪期には栄養療法と薬物療法を組み合わせた内科的治療が主体となります。内科的には治療できない腸閉塞、穿孔、大量出血などが生じた場合は手術が行われます。

栄養療法・食事療法

栄養状態の改善だけでなく、腸管の安静と食事からの異物を取り除くことで腹痛や下痢などの症状の改善と消化管病変の改善が認められます。栄養療法には経腸栄養と完全中心静脈栄養があります。経腸栄養療法は、抗原性を示さないアミノ酸を主体として脂肪をほとんど含まない成分栄養剤と少量のタンパク質と脂肪含量がやや多い消化態栄養剤やカゼイン、大豆タンパクなどを含む半消化態栄養剤があります。完全中心静脈栄養は高度な狭窄がある場合、広範囲な小腸病変が存在する場合、経腸栄養療法を行えない場合などに用いられます。病気の活動性や症状が落ち着いていれば、通常の食事が可能ですが、食事による病態の悪化を避けることが最も重要なことです。一般的には低脂肪・低残渣の食事が奨められていますが、個々の患者さんで病変部位や消化吸収機能が異なっているため、主治医や栄養士と相談しながら自分にあった食品を見つけていくことが大事です。

薬物療法

主に5-アミノサリチル酸製剤、副腎皮質ステロイドや6-MPやアザチオプリンなどの免疫抑制剤が用いられます。緩解を維持するために5-アミノサリチル酸製剤や免疫抑制剤が使われます。最近では栄養療法、5-アミノサリチル酸製剤、副腎皮質ステロイドなどによる治療が効かない症状の重い患者さんや瘻孔のある患者さんに対して、抗TNF-α抗体が使用されることもあります。

外科治療

著しい狭窄や穿孔、膿瘍などを経過中に生じ、内科的治療でコントロールできない場合には手術が必要となります。手術はできるだけ腸管を温存するために小範囲切除や狭窄形成術が行われます。

開発中の治療薬

近年、抗TNF-α抗体が開発され、その有効性が高いことが明らかにされて以来、クローン病の病態に基づく治療薬の開発が欧米を中心に精力的に進められています。特にクローン病ではTリンパ球がTh1型に傾き炎症反応を引き起こす物質が過剰に産生されていることから、これを是正するために、インターロイキン12やインターフェロンγなどの抗体の開発が始まっています。また、抗TNF-α抗体も、従来より副作用を少なくすることが可能な製剤の開発が進められ、今後の成績に期待されています。

※以上 財団法人難病医学研究財団/難病情報センターから

病気を乗り越える

両疾患とも、IBDに経験の多い医療スタッフの管理下で社会活動が可能になり、多くの患者が社会生活・家庭生活でより良いQOL(社会的生活の質的向上)を獲得しています。一方、病気をうまくコントロール出来れば、通常の生活の出来ることが、残念ながらこれらの病気については、まだまだ一般社会(患者本人にも)には理解はされていません。IBDの発症は10代〜20代の若者に多く、学生生活への配慮・就職就労の機会、そして結婚や出産といった人生の大事な時期であり、よって、社会生活に多くの課題を含んでいます。特に勤労所得者にとって同僚とのコミュニケーションを図るにあたって同一の食事が取れないことは、人間関係上、非常に気後れな事であり、若者にも友人との付き合いをする上で厳しい試練となっています。
北海道IBDは結成当初から「食事療法」と「気持ち切り替え療法」を患者に呼びかけ、先進的な医療機関とともに、食品の選別やサプリメントの開拓、日本で始めての患者向けの手引書「いきいきライフ」(売り切れ)を普及しています。そこで北海道IBDは、ブックレットとして2005年秋に、患者の視点から患者が書いた「IBDがラクになる本Vol.1」を発刊し、2006年4月には続刊「IBDがラクになる本Vol.2」が発刊されました。広い北海道は医療過疎地でもあり、札幌から離れた地域に支部の設立など、患者の組織化や医療機関の開拓を積極的に行っており、また、全国的にもIBDネットワークを通じて多彩で先進的な活動を行っています。